皮膚科で働く看護師は、医師の指示により患者の傷口の手当てや火傷の処置を行う場面が多く、身体を動かす業務に追われている。処置の内容によって使用する医療器具も異なり、数多くの器具の名前と使い方を覚えることが必要だ。ただし、上記のほか軟膏の塗布や刺抜きといった軽作業が中心で、患者の身体を支えるような重労働は少ない。生命の危機にある重篤患者が担ぎ込まれることも稀で、心理的負担も小さいと言われている。高齢者の患者が多い他の診療科と異なり、皮膚科を訪れる患者の年齢層は、幼児から高齢者まで幅広く、看護師は様々な年齢層に対応できるコミュニケーション能力を求められるだろう。

皮膚科の看護師が手術に関わるケースは稀だが、メラノーマと呼ばれる悪性黒色腫や重度の火傷の場合は手術を行うこともある。メラノーマは皮膚がんの一種でホクロのガンとも呼ばれ、日光が当たる首筋や顔のほか、地面からの刺激を受ける足の裏に出来やすいと言われている。メラノーマは進行が速く、早期に発見して手術により除去しないと死に至る恐ろしい病気である。火傷も軽度なら冷却と軟膏の塗布により回復するが、広範囲に渡る重度の火傷の場合は、皮膚の移植手術が必要だ。自分の皮膚の細胞を培養して人工皮膚を作り、移植する技術も進んでいる。皮膚科の看護師は、こうした手術に関わり、最新の医療スキルを学べることもあるだろう。このような重篤な患者は入院することになるが、皮膚科専用の入院病棟を備えた医療機関はほとんどない。一般病棟に入院し、皮膚科の医師や看護師のケアを受けることになる。