皮膚科で働く看護師は、火傷やアレルギー性の炎症などの急患が多く、多忙な毎日を送っている。受付時間終了間近になって駆け込んでくる患者もいて、残業を余儀なくされることも少なくない。皮膚科の看護師が扱う器具も多く、その名前を覚えるだけでも時間がかかる。軟膏の塗布や傷口の消毒のほか、注射や巻き爪の治療など、軽度の処置が多く、次から次へと訪れる患者に対応する手際の良さも求められる。その一方、重篤な容態に陥る患者は稀で、患者の救命処置に全力を注ぐといった場面はほとんどない。したがって、心理的なプレッシャーは、他の診療科より小さいと言えるだろう。その分、病棟看護で身につけたオペや患者介助のスキルを生かせる機会がないと嘆く看護師もいる。

皮膚科の大半は外来のみで、日勤だけの看護師が多く、肉体的負担も小さい。ただし、夜勤や手術の手当てがないことから、病棟看護師より給与が低くなる傾向は否めない。ところが、給与面で美容皮膚科は別格である。美容皮膚科は、保険医療に基づく傷病の治療が目的ではなく、患者はシミやくすみを取り除いたりシワを伸ばしたりするために来院するのだ。美容皮膚科の治療は自由診療で、保険が適用されないので、患者の負担は10割になる。それでも美肌のために大枚をはたいて美容皮膚科に通う患者は多く、美容皮膚科の経営状態は概して安泰と言えよう。美容皮膚科に勤める看護師の給与も高く、夜勤手当てがある病棟看護師より高い給与をもらえるケースが珍しくない。